ベトナムで活躍する日系企業、進出メリットとデメリット
ベトナムで活躍する日系企業の進出動向と歴史
ベトナムの豊富な人口による市場規模と人件費の安さから、多くの製造系の外資系企業が進出しています。
日系企業の進出も1990年代中頃から始まり、ベトナムのWTO加盟など世界経済の変化や国際的なルール導入といった変化の度に企業進出は増え続けています。
1997年アジア通貨危機やリーマンショックを区切りとして落ち着きを見せ、再度2011年頃から日系企業のベトナム進出が増え始めています。
かつては大企業が主要な進出企業でしたが、2010年台からは主に中小企業の進出が増えました。外務省領事局政策課の海外進出日系企業実態調査によると、2011年から6年間で日系企業の数は1,100から1.6倍程度になりました。
これは
- 日系企業の現地進出が20年を経て、先入りした日系企業を顧客とした新たな事業の需要が増したこと、
- 安定した成長を続けるGDP、そして日系企業と関わりが続いたこと、
- ベトナム本国側が海外進出ノウハウの無い中小企業であっても受け入れるサポートができたことなど理由として挙げられます。
2018年12月時点ではベトナムの日系企業は1,800拠点を越えています。これは中国、米国、インド、タイ、インドネシアに次ぐ第6位です。
・北部 723社
・南部 998社
・中部 127社
日系企業にとってのメリット、デメリット
メリット
日系企業がベトナムに進出していくメリットは、
- 長年に渡り安定した経済成長を続けている国であること、
- 製造業・農業・観光業といった様々な産業に適した資源や立地に秀でていること、
- アジアの中でも屈指の人口でありながら平均寿命が若いこと、
- 賃金を得るための技術や知識に熱意のある人材が豊富であること、
- 雇用コストが低いことが挙げられます。
デメリット
一方でデメリットは、
- 受け入れのサポートはあっても頻繁な法改正に伴う状況の変化が起きる可能性があること、
- 都市部と郊外とでインフラ整備の差は著しく、物流の要となる道路整備も郊外へ向かうほど悪いこと、
- インフラの整っている都市部では通勤ラッシュ時の大渋滞があること(こちらは一部運航が始まりつつある地下鉄の本格始動によって緩和が期待されています)、
- 魅力である若者たちの離職率が高いこと(ベトナム人の気質や常識と、日系企業の方針や教育のミスマッチが原因とされています)、
- 警察、役所などで賄賂文化があること(公務員の給与が平均的に低いため、ベトナム社会では賄賂文化はある程度理解されている)などがあります。
前例から学ぶリスクの予測
かつてはベトナムと同じ社会主義国である中国が急速な経済成長力と人件費の安さで、海外企業の進出先として人気を博していました。
しかし2003年から2010年にかけて中国の経済成長は横這いから低下を続ける一方で人件費は上昇していく、海外企業が拠点を置くメリットが失われ、日系企業も多くが撤退していきました。
同様のことがベトナムで起きたならどうするべきか、現地と企業状況に応じた想像力が求められます。
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