ベトナム語の方言

標準語として使われる北部方言

ベトナムは日本と同じように南北に長い国ですので、地域によって方言があるという特徴を持っています。主に南部方言と北部方言に分けることができます。

この方言による違いはかなり大きく、現地の人でさえ方言が強い人だと理解できないことがあります。外国人である日本人がベトナムに行けば、その難しさはさらに大きなものとなり、ベトナム語を話せると自信を持って行ったのに、方言のせいで話が通じず落ち込んでしまったというビジネスマンも少なくありません。

まず、日本人が習得することになるのは通常北部方言とされるものであるということを覚えておきましょう。というのも、ベトナム語の標準語として使われているのが北部方言だからです。全国に放送されるテレビ番組や新聞、政府内で用いられることになる言葉が北部方言として定められているからです。

北部方言の特徴

その特徴としては、特に子音をある程度強めに発音するため、はっきりと聞こえて、少なくても日本人には分かりやすいというものです。

音節ごとに聞き分けられるのが容易ですので、聞き取りがしやすいというメリットがあります。

こうしたことから、ベトナム語の歌は基本的に北部方言で歌われるという習慣があります。これは、ベトナム南部に住んでいる人でも同じで、発音がクリアで分かりやすい北部方言で歌うのです。

また、格調高く聞こえるというところも北部方言の特徴です。より洗練されてちょっと気位が高い雰囲気となるとも言えます。こうした違いがあるため、南部に住む人たちは北部方言を、ちょっとお高く留まっていると思うこともあります。

南部方言の特徴

一方の南部方言は、発音が滑らかで流れるように話す傾向があります。そのため、はっきりとした音節の違いを見分けるのが難しいことがあり、外国人にはちょっと難度の高い方言となります。また、ベトナム語は声調言語で、声の高さを変えることで意味を変化させます。

基本的にベトナム語は6つの声調があるのですが、南部方言では一部の声調の違いがほぼないという特徴があります。言語を習得している人にとっては簡単でいいのですが、実際に言葉を聞くと見分けづらいものが出てくることもあります。

南部方言はいわゆる標準語ではないので、ちょっと下に見られることもありますが、実際に使っている人の数が多いのは南部方言です。

また、クリアで強い発音でない分、流れるような発音となっていて、聞いていて心地よく聞こえるのは南部方言の方だと考える人も多くいます。

ただし、聞き取りがちょっと難しいのと、子音と発音の区別が北部方言よりも多いので覚えるのに苦労することがあります。また、日本人がベトナム語を覚える時に使うテキストや音声教材は、ほとんどが北部方言に基づいていますので、少なくても日本にいてベトナム語習得を目指す場合は、南部方言に接するのが難しいという点もあります。

実際に現地で聞きながら、覚えていくのがベストな方言だと言えるでしょう。