ベトナム、ハノイの大気汚染

外国人がベトナムに来て驚くことは、発展への活気、大量のバイク、そして深刻な大気汚染です。特にハノイの大気汚染は深刻な問題となり、大気汚染が深刻な東南アジアワースト10都市の常連となっています。

ベトナム都市部で進む大気汚染問題

ハノイ、大気汚染

2019年、NPOグリーン・イノベーション・センターが「ベトナム・ハノイ市の大気汚染度は東南アジアワースト2位」という調査結果を発表しました。世界62か国ではベトナムが32.9μg(マイクログラム)で17位、首都別ではインドネシア・ジャカルタの45.3μgに次いでハノイ市が40.8μgで3095都市中12位(東南アジア2位)、ホーチミン市は26.9μgで15位でした。

ベトナムにて環境改善のアドバイスを行っている別の専門家によれば、NPOの発表にはデータの不十分さがあります。PM10といった他の微粒子物質を含めた濃度の平均値は公害が問題だった1970年代の日本と比べて低く、公害病を経て対策がなされてきた1990年代前半の日本と同程度。土地柄、曇りの覆い天候が視覚的にスモッグや排ガスを思わせることも、大気汚染の進んだイメージを髣髴とさせる、と語られています。

呼吸器疾患に直結しかねない大気汚染

ハノイの大気汚染指数ハノイの大気に関するデータによれば、工場が主に都市中心部から離れた郊外にあることから、二酸化硫黄SO2、二酸化窒素NO2といった工場の煙由来の物質の濃度は環境基準内に収まっています。しかしPM10、PM2.5を含む粉塵(粉じん)、窒素酸化物NOxはその基準値を大きく超えた数値を記録しており、これは都市内の建設・取り壊しなどで生じる砂ぼこり、バイク大国であるベトナムの通勤ラッシュの時間帯の排ガスによるものであり、季節では作物の収穫後、野焼きが行われ、風がほとんど吹かない秋冬期に特に大きく数値が上昇します。

こうした大気汚染の状態は人によっては咳の発生、のど・胸の苦しさを生じさせ、人体の呼吸器系や循環器系に関する病気の発生率の上昇やお年寄りや子供への影響が大きいと考えられています。

実際に1960-1972頃の日本、三重県四日市で発症していた四大公害病の一つ四日市ぜんそくは、工場から発せられた亜硫酸ガスによる大気汚染が原因となるものでした。

地元ベトナム人の対策は

地元ベトナム人の対策こうした状況を受けて、地元ベトナム人も現状を問題視し始めています。最も一般的になされている対処は通勤時のマスクの着用です。日本の一般的なマスクである四角く薄いガーゼ状のマスクではなく、鼻から顎、頬にかけてカバーのようにしっかりと覆う布マスクで、生地の厚さやメッシュの種類、デザインや色を含めて多様な物が販売されています。

しかし、こうした布マスクは排ガス対策にはなっても、PM2.5といったより細かな微粒子の遮断にはあまり効果がなく、対処したい場合には微粒子対策のなされたフィルター付の本格的なマスクの購入が推奨されます。

空気洗浄機も販売されていますが、ベトナム人の家庭に浸透しているとは言い難い状況です。

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ハノイの大気汚染

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