ベトナム語について
ベトナム語はベトナム社会主義共和国の公用語で、ベトナムを中心に世界各国の越僑人たちの間で使用されています。話者はおよそ9000万人~1億人と言われて、世界の母語話者数15位となっています。ベトナム語は主に北部方言、中部方言、南部方言の3つに分けられ、発音だけでなく使用される語彙も多少異なります。北部方言は首都ハノイ、中部方言はゲアン省やダナン市などで、南部方言はホーチミン市を中心に使用されています。
北部方言は標準語と位置付けられていますが、標準語で南部の人に話しかけても南部方言で応え、標準語は話しません。この点は日本の標準語とは違うところですが、基本的に通じます。
ベトナム語の4つの特徴
1. 中国語が語源の語彙が多い
ベトナム語の単語のおよそ70%は中国からの漢字語であり、「注意(Chú ý)」「大学(Đại học )」「警察(Cảnh sát)」のように日本語で使われる漢字と同じように表記ができ、発音も似ています。造語もすでにある単語をつなぎ合わせて作られます。
máy bay: 飛行機(機械+飛ぶ)
máy vị tính: パソコン(機械+小さい+計算)
phòng vệ sinh: お手洗い(部屋+衛生)
2. 文法構造は英語に似ている
ベトナム語は中国語と同じように孤立語で、語順はSVOです。一般的には後置修飾です。英語や日本語では単語の形が変わって文法に影響しますが、ベトナム語では単語は変わらず、語順の変化で文法の変化を表します。文法は発音ほど複雑ではないので、すぐに習得することができます。
3. 発音と方言
中国語と同じく声調があり、ベトナム語では6つに区別されます。母音の数は短母音11個、二重母音6個に区別され、非常に発音が難しい言語です。また北部、中部、南部でそれぞれ方言があり、表記は同じですが、発音の仕方は異なり、日本のように共通化されていません。
例えば、語頭子音”D”、”Gi”は北部では「ザ行」、南部では「ヤ行」で発音されます。また、声調も異なり、北部は6声調、南部では5声調です。
4. 漢字圏だがアルファベットを使用
かつては中国語の影響を受けた漢字を用いた独自の「チュノム」が使用されていました。その後、フランスの植民地となってから、漢字が廃止されフランス人によって作られたアルファベット表記の「クオック・グー」が使用され今に至ります。
ベトナム語のアルファベット
A Ă Â B C D Đ E Ê G H I K L M N O Ô Ơ P Q R S T U Ư V X Y